Lava
Published by Nui Daisuke,
自分に起こることすべてに意味なんかあるわけがない。
「運命の出会い」も「不思議な巡り合わせ」も「不幸な被害」も、ただの偶然だ。
そうだろうか?
この数週間、ぼくの頭のなかにはハワイ島パホアの集落に流れ込むLava(ラヴァと読んで溶岩を意味する英語)のことがずっとひっかかっていた。溶岩流は人の生活を脅かす悪で、そこに住む人たちは自然災害に合ったかわいそうな被害者、そんな見当違いなリアクションが多数をしめているようだった。この違和感をどうにかしたくてブログに動画をシェアし、記事を書いた。
(その記事はこちら→溶岩流論議に見るハワイアンの価値観)
伝えたかったのは、ハワイアンが知っていて、他の人が理解していないこのこと。
ペレは破壊をしているんじゃない。島を、大地を創造している途中なんだってこと。
期待以上の多くの人に思いが届き、ブログ記事の「いいね」が4桁になるという自己最高記録を更新していた一昨日、ぼくはオアフ島にある大自然のなかの美しいビーチにいた。
波打ち際で足だけ海に入っていてふと振り返ったら、すぐ近くを初老のハワイアン男性と彼の犬が通り過ぎていこうとしていた。犬の種類に詳しくないぼくにはそれが何犬なのかわからなかったけれど、小さめの中型犬で、スリムな顔とスタイルがなんだか上品な、毛並のきれいな黒い犬だった。犬はぼくと視線を合わせた途端、方向を変えてこちらに近づいてきた。犬は一瞬ためらいがちに主人の顔色をうかがった。主人は「いいよ、好きなようにしなさい」と微笑んだ。犬は尻尾を振りながらぼくの身体に身を寄せてきた。しゃがんで視線の高さを合わせ頭を撫でたらすぐ仰向けになって腹を見せてくる。目が訴えるので顔を寄せたらペロリとなめられた。
「Boy or girl?」と聞いたらGirlだと教えてくれた。
名前は?と聞くと「Lava(ラヴァ)」と言う。
一瞬耳を疑った。
それが表情に出たのか、彼は「Yes, Lava」と笑顔で繰り返した。
起こる出来事に意味があるかないか、それは自分が決めることだ。
意味を見つけられたなら、それは幸せなこと。
きっとそういうことなんだろう。
Aloha e Pele.
Nui Daisuke
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